木のなかに、まだ言葉になっていないかたちが眠っている。

節や割れ目、年輪の揺らぎが、なにかを語りかけてくる。


それに静かに耳を澄まし、かたちをすくいあげるように、手を動かしている。


作品はいつも、名を持たないまま生まれてくる。

器かもしれないし、彫刻かもしれない。

あるいはただ、そこに「在る」ことだけで意味を持つものかもしれない。


使うか、飾るか、しまっておくか。

どう関わるかは、手に取った人が決めること。


答えのない形が、日々の中に小さな余白を残してくれることを願っている。